皆さんは豊かな実りにとって大切なことは何かご存じですか?
水?防虫や防獣?祈り?いいえ、土づくりです。
動物のフンなどを使った肥料での土づくりもありますが、
植物を植えることでもよい土を作ることができます!!
これを緑肥といいます。
緑肥ってなんだか難しそう…。
実は緑肥は初心者にこそおすすめなんだニャン!
今回は緑肥についてとおすすめの緑肥について紹介します。
- 目次 -
緑肥について
よい土とは?
よい土壌とは地力が高い土壌のことを指します。
地力とは「その土地が農作物を育てる生産力」のことで、
物理性(作土の深さや透水性、通気性など)・生物性(有機物の分解能力、微生物の量など)・化学性(土壌pH、土壌中の養分など)の三要素がいずれも良好だと、その土壌は地力が高いと言えます。
三要素の中の物理性と生物性は緑肥や堆肥で改善できます。
緑肥とは?
緑肥とは、植物そのものを肥料として利用することです。
作物を栽培して収穫すると、土の栄養が作物に吸収されて、土壌の地力が失われます。
このまま栽培してしまうと、作物が栄養不足でうまく育ちません。
そこで、休耕時期に緑肥を畑に植えておくと地力が回復し、次の年も同じ畑で作物を作ることができます。
緑肥を初心者におすすめする理由
緑肥で畑を診ることができる
新規就農者がよい畑を借りることは難しいです。
耕作放棄地か化学肥料で疲弊した畑しか借りられないことが多いそうです。
初心者がその土が良い土なのか悪い土なのかを見極めることは難しいです。
そこで、作物を植える前に一回緑肥を植えます。
緑肥の育ちが悪ければ、良い土ではないので緑肥をすき込んだり、堆肥を使用したりします。
緑肥は他の作物よりも育てるのが簡単ですし、
作物がうまく育たない原因が一目でわかり、
作物を植える前に対処できるので、初心者にこそ緑肥はおすすめなのです。
緑肥を育てて、畑を診て、
その畑にあった作物を栽培することで収量を上げることができます。
緑肥のメリット・デメリット
緑肥のメリット
土壌環境の改善
緑肥の根は深さ100cmまで伸びることも多く、硬盤(深さ15~30cm程)と呼ばれる硬い土層を貫きます。
耕耘機で耕したり堆肥を施用したりするだけでは改善が難しい土壌の深層部の環境改善にも効果が期待できます。
これにより、根がはりやすくなり、広範囲から栄養分を吸収することができます。
また、栽培した緑肥をすき込むことで、土壌に有機物が供給され、土壌の腐植率が上がります。
土壌の腐植率が上がると団粒化が進み、透水性・保水性・通気性の改善ができます。
減肥効果
ほとんどの植物は空気中の窒素を利用できません。
しかし、マメ科植物は窒素固定ができるので、窒素を養分として利用できます。
硝酸態窒素やカリはすぐに地下に流れてしまい、作物が栄養を吸収できません。
イネ科植物はこれらの養分を回収することができます。
緑肥を利用することで、空気中や土壌内にある栄養をうまく活用できるので、
減肥につながります。
緑肥を続けることでCEC(土が保持できる陽イオンの量)が増え、
施用した肥料が徐々に畑に保持されやすくなり、結果として肥料の利用率が高まり、
減肥につながります。
また、緑肥を植えることで肥料を使うべき場所と使わなくてもよい場所がわかるので、
減肥につながります。
病気や有害生物の抑制
緑肥の導入によって土壌病害や有害生物を抑制することもできます。
土壌病害
土壌内の菌や微生物のバランスが偏りすぎると病気にかかるリスクが高くなります。
緑肥導入により、多様な微生物が存在する環境では、
病原菌が優勢になることが難しくなり、病害の発生が抑えられます。
また、一部の緑肥には土壌病害を抑える化学物質を分泌するものがあります。
有害生物
一部の緑肥作物(例: マリーゴールド、クローバー、クロタラリアなど)は、
根や葉から害虫を忌避する成分(化学物質)を放出することがあります。
雑草抑制
緑肥作物は地面を覆うことで、雑草の成長を抑制します。
雑草との競争を減少させ、作物に必要な養分を確保するためにも有効です。
土壌浸食の防止
緑肥は土壌を覆い、風や雨による浸食を防ぐ役割を果たします。
これにより、土壌の流出が防がれ、農地の維持が可能になります。
コスト削減
上記で説明したように、緑肥は肥料としてだけではなく様々な効果があり、
一石何鳥にもなるので、結果的にコスト削減につながります。
緑肥のデメリット
時間と労力がかかる
緑肥を育てるためには、栽培期間中に土地を専有する必要があります。
このため、通常の作物を栽培する期間が短くなるか、休耕期間が必要になります。
また、緑肥作物の種まき、育成、土にすき込む作業など、追加の労力が必要です。
生育量が天候に左右されやすい
化学肥料であれば、施肥量をコントロールできますが、
緑肥は植物なので、うまく育たなかった場合十分な量の肥料が得られない可能性があります。
そのため、ほかの作物同様管理が必要となります。
周辺環境へ影響
緑肥作物が成長する過程で、他の作物と栄養分や水分を競い合うことがあります。
特に、緑肥作物が大きく成長しすぎると、隣接する主作物の成長を阻害する可能性があります。
緑肥の使い方
1.緑肥の選定
目的や作物、栽培スケジュールに合わせた緑肥を選定します。
2.圃場準備
ロータリーやハローなどで耕起・整地します。
3.播種
散粒機、播種機や手まきなどで播種します。
播種後はロータリーなどを使って覆土し、ローラーなどで鎮圧します。
4.成長管理
緑肥作物の成長を促進し、必要に応じて管理を行います。
乾燥が続く場合は灌水、雑草が多ければ除草などをします。
5.すき込み
緑肥作物が目的に合った大きさに成長したら、土壌にすき込みます。
チョッパーやハンマーモア、フレールモアなどで裁断し、プラウやロータリーですき込みます。
作物が柔らかい場合はロータリーでそのまますき込めます。
すき込むタイミングが大事!!
緑肥作物が開花前にすき込むのが一般的で、開花後にすき込むと、
作物が硬くなり分解しにくくなるため、土壌改良効果が減少することがあります。
6.分解期間
すき込んだ後、緑肥作物が土壌中で分解される時間を待ちます。
通常、1〜2週間程度の分解期間を確保しますが、地域の気候条件や土壌のタイプによって異なります。
土壌が暖かく、湿っていると分解が早まります。
おすすめの緑肥紹介
プラスワイズで取り扱っているおすすめの緑肥を4つ紹介します。
ヘイオーツ
特徴
ヘイオーツは生育が早く、これで畑のおおよその状態がわかります。
生育が悪ければ、土壌の物理性に問題がある場合が多いです。
ヘイオーツは畑を診るだけではなく、線虫抑制効果が高いです。
特にキタネグサレセンチュウに効果が高いです。
また、キタネグサレセンチュウに効果があることで、土壌病害の発生も抑えてくれます。
土壌保全、透水性改善、防風にも効果があります。
ヘイオーツに効果のある線虫
品種 | 線虫の種類 | ||||||||
ネコブ | ネグサレ | ナミイシュク | ダイズシスト | ||||||
サツマイモ | ジャワ | キタ | アレナリア | キタ | ミナミ | クルミ | |||
ヘイオーツ |
◎ | ◎ | 〇 |
◎:おすすめ ○:効果あり
ヘイオーツに効果のある土壌病害
土壌病害名 | 病害の特徴 |
キャベツバーティシリウム萎凋病 | バーティシリウム属のカビによって引き起こされる病気で、 キャベツの葉が黄変し、萎凋(しおれ)して枯死する症状 |
ダイコンバーティシリウム黒点病 | バーティシリウム属のカビが引き起こす病気で、 ダイコンの根に黒い斑点が現れ、品質と収穫量が低下する |
ジャガイモそうか病 | 細菌によって引き起こされる病気で、ジャガイモの表面に コルク状の斑点や亀裂が生じ、外観と品質を損なう |
アズキ落葉病 | 糸状菌によって引き起こされる病気で、 アズキの葉に黄変や褐色の斑点が生じ、葉が早期に落葉する |
アブラナ科野菜ネコブ病 | 根に寄生するネコブセンチュウにより引き起こされる病気で、 根にコブ状の腫れができて生育不良や枯死を引き起こす |
播種時期・播種量
播種時期
播種量
10aあたり10~15㎏
※線虫抑制目的の場合は10aあたり15kg
おすすめの作物
・根菜類
・アブラナ科
・ジャガイモ
・ニンニク
・長ネギ
栽培スケジュール例
つちたろう
特徴
つちたろうはソルガムという種類の植物で、根が深く張るのが特徴です。
根が耕盤層を超えるため、土が柔らかくなり、水はけも良くなります。
ヘイオーツを育てて畑を診た後に、物理性が悪い場合つちたろうを使うのもおすすめです。
生育が早く、栽培日数50~60日で草丈2m前後まで生育し、
生収量5~6t/10aと多くの有機物量確保できます。
ヘッドレス(出穂しにくい)タイプのため、栽培を続けただけ伸びます。
サツマイモやウリ科作物で問題となるサツマイモネコブセンチュウに高い抑制効果があります。
背丈が高いため防風やドリフトガード、クリーニングクロップとして利用ができます。
つちたろうに効果がある線虫
品種 | 線虫の種類 | ||||||||
ネコブ | ネグサレ | ナミイシュク | ダイズシスト | ||||||
サツマイモ | ジャワ | キタ | アレナリア | キタ | ミナミ | クルミ | |||
つちたろう |
◎ | ◎ |
◎:おすすめ ○:効果あり
播種時期・播種量
播種時期
播種量
10aあたり5kg
おすすめの作物
・トマト
・キュウリ
・サツマイモ
栽培スケジュール例
田助
特徴
田助は耐湿性に優れているので、水田転換畑での生育が旺盛です。
田助はマメ科特有の直根タイプで、地中深くを貫通するので、透水性や通気性の改善ができます。
それによって、転換畑の畑地化に役立ちます。
田助はマメ科植物なので窒素固定ができ、土壌を肥沃化できます。
後作物の減肥に役立ちます。
通常マメ科はイネ科と比べて有機物の有機物が低いのですが、
田助は生産数が2.5~5t/10aと多く、大量に緑肥をすき込むことができます。
播種時期・播種量
播種時期
播種量
条播の場合:10aあたり4kg
散播の場合:10aあたり5kg
オススメの作物
・ブロッコリー
・エダマメ
・大豆
栽培スケジュール例
おたすけムギ
特徴
畑の通路などを植物で覆って雑草抑制や土壌流出の防止をすることがあります。
これをリビングマルチといいます。
リビングマルチには以下のような効果があります。
・雑草抑制
・排水性の改善
・乾燥防止
・土壌の流出防止
・害虫の密度抑制
・地温抑制
リビングマルチはポリマルチとは違って、すき込むことができるので、
地力向上にもつながります。
このリビングマルチにおすすめなのが「おたすけムギ」です。
おたすけムギは大麦で、暑さに弱く、この性質を利用してあえて春~初夏に植えることで
以下のようなメリットが得られます。
・初期生育が早く、すぐに地面を覆う
→雑草が生える前に草マルチで覆える!
・枯れあがりも早いため、他の作物と競合しにくい
→他の作物と一緒に栽培できるため、手間が省ける!
・自然に枯死する
→敷き藁の代わりにもなるし、片付けが楽!
スイカのツル固定や青果への泥はね防止など、様々な使い方ができます。
播種時期・播種量
播種時期
播種量
間作:10aあたり4~6kg
遊休農地:10aあたり10~15kg
おすすめの作物
・白菜
・レタス
・キャベツ
・トマト
・スイカ
栽培スケジュール例
目的別おすすめ緑肥
目的 | 効果 | 商品 |
土壌改善 | 水はけをよくする | ナモイ ネマックス |
土を柔らかくする | ナモイ やわらか矮性ソルゴー |
|
減肥 | 有機物量が多い | ネマレット 緑肥用ライ麦 |
窒素固定ができる | くれない レンゲ |
|
病気や害虫を抑制 | 土壌病害を抑制 | ライ太郎 辛神 |
飛来害虫を抑制 | やわらか矮性ソルゴー グランデソルゴー |
|
線虫抑制 | ソイルクリーン ナツカゼ |
|
雑草抑制 | 地面を被覆する | らくらくムギ アンジェリア |
まとめ
今回は緑肥についてとおすすめの緑肥について紹介しました。
緑肥はメリットも大きいですが、植物を育てることになるので手間もかかります。
メリットとデメリットを考慮したうえで、ぜひ緑肥の利用を検討してみてください。
今回紹介した緑肥以外にもたくさんの種類があるので、
ご自身の作物や目的にあった緑肥を選別して、栽培してみてください。
今回紹介した商品はこちら
商品名 | 特徴 |
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![]() 種まき ごんべえ HS-300LH 向井工業 |
一定間隔にムラなく蒔ける! |
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土壌改善の物理性改善にぴったり! | |
水田転換畑の前作に! | |
リビングマルチに使える! |
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