ぶどうの粒、一つひとつの実が丸々大きく揃っていると「美味しそうだなぁ!」と感じますよね。その見た目はもちろんですが、味を左右する重要な作業が、ぶどう栽培の中でも特に重要な作業「摘粒(てきりゅう)」です。ぶどう栽培初心者にとっては複雑で難しそうな作業と感じるかもしれません。
そこで今回は、ぶどうの摘粒に適したタイミングや方法について基礎から詳しく解説します。おすすめの摘粒鋏も紹介するので、ぜひ参考にしてみて下さい。
- 目次 -
摘粒の目的は?
ぶどうの摘粒は、余分な果粒を取り除いて果粒数を調整する作業です。残した果粒の肥大を促進したり、房の形や粒ぞろいを揃えたり、裂果を防止する効果があります。
摘粒は一粒一粒に向き合う細かい作業ですが、外見だけでなく食味にも関わっており、品質管理に欠かせません。摘粒の方法を説明する前にぶどうの部位についてご紹介していきましょう。
ぶどうの部位
摘粒の方法を説明する前にぶどうの部位についてご紹介します。摘粒は余分な部分を取り除く作業のため、ぶどうの部位を理解しておきましょう。
主穂を残して、副穂や余分な支梗を切り取って調整していきます。
・穂軸:基部から分岐した枝のこと。
・主穂:穂軸から分岐した枝で、一番太い枝に形成される実のこと。
・副穂:穂軸から分岐した穂軸ではない、実が形成された枝のこと。
・支梗:枝の先端でなく、つけ根の方にできる芽のこと。
部位が分かったから、さっそく摘粒方法を見ていくニャン!
ぶどうの摘粒方法
ぶどうの摘粒作業は、「花穂整形(かすいせいけい)」「予備摘粒」「仕上げ摘粒」の三段階に作業が分けられています。
それぞれの摘粒方法を見ていきましょう。
・花穂整形:ぶどうの花が一つでも咲き始めたらすぐ行う
・予備摘粒:1回目のジベレリン処理後4~5日頃行う
・仕上げ摘粒:2回目のジベレリン処理が済み次第行う
STEP ① : 花穂整形

主穂を残して副穂や余分な支梗を切り取って穂軸の長さを調整する作業です。その長さは、品種ごとで支梗の段と段の間隔に違いがあるため、異なります。
長さの目安は以下の通り調整してください。
・巨峰、ピオーネ、籐稔:6.5~7cm
・シャインマスカット:10~11cm
この時、粒の数と糖度は反比例するので、長さは重要となります。
STEP ② : 予備摘粒

1回目のジベレリン処理後4~5日頃行うのが「予備摘粒」です。裂果や腐敗の原因となる内向き・下向きの果粒、キズが付いているもの、ショットベリーを切除します。
この時、残す果粒数の目安は、
・巨峰、ピオーネ、藤稔:35~40粒程度
・シャインマスカット:45粒程度
一番上の段にある支梗をやや多めに残して上部を包むような形にするときれいなぶどうに仕上がります。
STEP ③ : 仕上げ摘粒
大粒品種の仕上げ摘粒

巨峰や藤稔、ピオーネなど大粒品種の場合、予備摘粒で軸長を7~8cmに調整するため、段数は11~12段、合計粒数は35~40粒が目安とされています。
最上部から3段目までを各段4粒ずつに、4段目から9段目までを各段3粒ずつに、10段目から11段目を各段2粒ずつに、最後の段を1粒に摘粒することで35粒の果粒がきれいなぶどうの形になります。
シャインマスカットの仕上げ摘粒

シャインマスカットなど高糖度のぶどうの場合、予備摘粒で軸長を10~11cmに調整するため、段数は14~15段、合計粒数は45粒程度が目安とされています。
最上部から6段目までを各段4粒ずつに、7~9段目を各段3粒ずつに、10~15段目までを各段2粒ずつにしていきます。

シャインマスカットの奇形果
シャインマスカットは果粒が二股に分かれる奇形果が出やすい品種です。時には、3股にもなっていたりする場合もあります。
奇形果を見つけた場合は、1つになるように切除しましょう。早いうちに切断すれば、傷口が小さくなり、房への負担もかかりにくくなります。
仕上げ摘粒を成功させるポイント
残す果粒の向き
ぶどうは複数の果粒からできているため、摘粒作業を難しく感じてしまいます。完成イメージをしっかり持って作業を進めましょう。果粒がきれいに外側に向くように摘粒していきます。
・最上段の支梗には上向き果粒を2~3粒残して果房の軸を包み込むようにする。
・房の上段~中段は、上向き・下向き・内向きの果粒を摘粒。水平で外に向いている果粒のみを残すようにする。
・房の最下段は上向きの果粒を摘粒し、下向きの果粒を残すようにする。
摘粒するとき
摘粒前のぶどうは房によって様々な形をしており、根元からしっかり取り除くことできれいな形に仕上げていきます。
・房によって段数は多少異なってくるので摘粒するまえに段数を確認してから行う。
・円筒形になるように果梗が太く緑色の濃いものを残すようにする。
・摘粒後、摘粒した果梗の軸が残らないようにしっかり根元から切除する。
密集した果粒を傷つけずに摘粒するにはハサミ選びも重要です。ぶどうが傷つきにくいハサミやハサミを持ったまま他の作業ができるハサミがあるのをご存じでしょうか。
ぶどうの摘粒作業におすすめのアイテムを紹介
ぶどうはその見た目の通り非常に繊細な果物であるため、摘粒作業の際に少し刃先が当たっただけでも傷が付き、肥大したときに傷の部分から割れてしまうことがあります。慎重に作業を行うだけではどうしても傷が付いてしまうので、摘粒に適したハサミを使うようにしましょう。
持ったまま他の作業ができる!サボテン ぶどう摘粒鋏 B-2

「ぶどう摘粒鋏 B-2」は、指かけハンドルが付いているので他の作業もそのまま行えるのが特徴です。摘粒鋏の中でも小型で軽量なタイプで、手が疲れにくく、作業を少しでも省力化したいという方におすすめです。
刃の背部がR形状に面取りされているのでぶどうの実を傷付けないように作業することが可能です。
切れ味抜群!近正 ぶどう鋏 B-300S

「ぶどう鋏 B-300S」は、先が細くなっていて切れ味がいいので細かい作業にも大活躍。摘粒はもちろん剪定や収穫作業など、ぶどう栽培のあらゆる作業で使用することができます。
ステンレス製で錆びにくく、長く大切に使用していきたい方におすすめのハサミです。
ピンセット付! 近正 ぶどう鋏 B-300SP

「ぶどう鋏 B-300SP」は、ぶどうの粒をつまんで取ることができるピンセット付きのハサミです。ピンセットには波型加工がされており、滑りにくくなっているのが特徴です。
仕上げ摘粒の際、大きくなっていて取りにくい内向きの果粒も簡単に取り出せます。
U型ピンセット付!近正 ぶどう鋏 B-300SU

「ぶどう鋏 B-300SU」は、ぶどうの房の軸を掴んで引き抜くことができるU字型ピンセット付きのハサミです。ピンセットには波型加工がされており、滑りにくくなっているのが特徴です。
B-300SPと比べて大きく、U字型のため、ぶどうの房の軸をよりしっかりと掴んで引き抜くことができます。
切れ味をキープできる!サボテン はさみケースA

「はさみケースA」は、ベルトなどに通して使用するケースです。水や洗剤を貯められるような構造になっているので、はさみについたヤニや汚れを落としながら作業を進めることができます。
水や洗剤に漬けたままはさみを放置すると、錆びの原因になりますのでご注意ください。
まとめ
商品 | 特徴 |
指かけハンドルが付いているので | |
先が細くなっていて切れ味がいいので | |
仕上げ摘粒の際、 | |
U字型のため、ぶどうの房の軸を | |
水や洗剤を貯められるので、 |
今回は、ぶどうの摘粒作業について解説しました。摘粒はぶどう栽培の中でも特に細かい作業です。できるだけ省力化して作業を効率よく進めましょう。
コチラもお読みください

農業のためになる情報をお届け!ネット通販プラスワイズのマスコット「わいずニャン」が日本全国の農業のお悩みを解決します。「農業の“たのしい”をカタチにする」をテーマに、便利なアイデア商品情報もお届け。