連作障害とは、同じ圃場で同じ作物を作り続けることで、物理性・化学性・生物性が崩れて生じる障害です。土壌微生物はいい土づくりに欠かせない要素で、直接・間接的に物理性・化学性・生物性を整える効果を持っています。
そこで今回は、連作障害や土づくりの重要性をおさらいしつつ、土壌微生物の増やし方を解説。おすすめの土壌改良剤もご紹介します。
連作障害とは
連作障害が発生すると土壌環境が悪化し、通常の管理を行っていても生育や収量・品質などが低下します。発生する原因や連作障害による土壌の変化など、連作障害について詳しく見ていきましょう。
発生する原因
連作障害は、同一の作物または同じ科の作物を同じ圃場で栽培(連作)した際に発生します。
・ナス科:トマト・ナス・ピーマン
・ウリ科:キュウリ・スイカ・メロン
・アブラナ科:ハクサイ・コマツナ・キャベツ
連作による「土壌の変化」
連作すると土壌環境が変化し、これが障害へとつながります。
作物の種類によって好む栄養素が異なります。また、作物によって集まってくる土壌微生物も異なるため、同じ科の作物を連続して栽培し続けると、土壌の成分や土壌中の微生物に偏りが出てきます。
通常はたくさんの種類の土壌微生物が存在しており、有用菌の働きで病原菌が悪さをしにくくなっています。しかし、土壌微生物に偏りが発生すると、病原菌を抑える効果が小さくなるため、病害が発生しやすくなります。また、一度土壌微生物に偏りが発生すると自然の力では元の多様な土壌微生物環境に戻ることは難しく、病害が深刻化してしまいます。
作物への影響
作物への影響は主に、病害・線虫による害・養分の偏りによる生育不良の3つです。土壌中の養分の偏りは見た目では判断できないため、通常の施肥をして生育不良を起こす可能性があります。
対策
連作障害を対策として、輪作や土壌消毒が推奨されています。しかし、土壌消毒は繰り返し行うことで植物にとって有用な微生物までを殺菌してしまうため、地力が衰えて作物が病気にかかりやすい状態になってしまいます。
連作障害の原因である土壌環境の悪化を防ぐために、いい土の条件を知っておきましょう。土壌の物理性・化学性・生物性とはなんのことを指しているのでしょうか。
いい土の条件
土づくりには「物理性・化学性・生物性」を整えることが欠かせません。3要素は互いに深く影響し合っているため、どれかひとつが優れていればいいのではなく、3要素の全てが整っていることが重要です。土壌環境が改善すれば作物生産の安定化や高品質化はもちろん、土壌中の肥料が作物に吸収されやすくなるため、施肥量の節減も期待できます。
1. 通気性・排水性・保水性に優れている(物理性)
物理性のいい土は、団粒構造を持っています。団粒構造とは、微細な粒子がたくさん集まった団子状の粒子です。土壌が団粒構造になっていると、団粒と団粒の間に空気や水分を含むため、通気性や排水性がよくなります。
2. 土壌pHなどが適正である(化学性)
日本の作物は中性~弱酸性の土壌を好むものが多いです。強酸性や強アルカリ性の状態にならないよう注意しましょう。適度な土壌pHは、作物による肥料分の吸収を間接的に促進します。
3. 微生物を多様に含んでいる(生物性)
農業などでよく言われる「肥沃な土」というのは、有機物や微生物を豊富に含んだ土のことを指します。こういった土壌では、微生物による有機物の分解が持続的に行われるため植物の生育がよくなります。また、分解によって発生した腐植によって団粒構造ができるため、物理性の改善にもつながります。
土壌微生物の増やし方
土壌微生物は生物性の改善だけでなく、物理性・化学性の改善にもつながります。また、病原菌を分解する土壌微生物も存在することから、病害の抑制にも効果を発揮します。土壌微生物にはさまざまな種類が存在し、効果も異なるため、多様で豊富な微生物が存在することが重要です。次のような方法で土壌微生物を増やしてみましょう。
堆肥を施す
堆肥を使用して微生物のエサとなる有機物を増やすことで、微生物自体の増加を促します。また、堆肥自体にも微生物が含まれているので、多様性がありバランスの取れた土壌を作ることが可能になります。
輪作する
輪作とは、同じ圃場でさまざまな作物を栽培することです。輪作を行うことで根や残渣なども多様になるため、それらを好んで食べる微生物も多様化して病害を防ぐことができると考えられています。
土と一緒に雑草も耕す
堆肥と同様、雑草の根にも微生物が存在するため、雑草を根っこから抜いてしまうと微生物も一緒に取り除いてしまうことになります。雑草と土を一緒に耕すことで微生物のエサとなり、微生物の増加を促すことができます。
土壌微生物の増加を助ける土壌改良剤を紹介
堆肥の施用などは微生物が増えるまでに時間がかかります。連作障害は深刻な場合や、急いで土壌環境を改善させたい場合は土壌改良剤を利用しましょう。
定植後の水やりに!菌の黒汁
「菌の黒汁」は、連作障害を予防してくれる善玉菌を原料にした液体タイプの土壌改良材です。定植後の水やりの際に薄めて使用することで、土をフカフカにして植物にとって有害な菌が増えるのを抑制する働きがあります。
無臭で水にすぐ溶けるので使いやすく、家庭菜園での使用にもおすすめです。有機JAS対応資材として認定されているので、安全性が高く散布時の保護具なども必要ありません。
菌の黒汁との併用でさらに効果を実感!連作障害ブロックW
「連作障害ブロックW」は、連作障害を改善する働きを持つ善玉菌と土壌バランスの改善を促す天然ゼオライトを原料に使用した土壌改良材です。悪玉菌が増えるのを抑制したり肥料成分が流亡するのを防ぐことができます。粒状になっているので使い方も簡単で、定植前の植穴や株元にパラパラとまくだけ。菌の黒汁と併用することでさらに効果を期待することができます。
木酢液で善玉菌を活性化!バイオ根助
「バイオ根助」は、高純度の木酢液で土壌の微生物を増やして発根障害を改善する発根促進剤です。善玉菌が増えることで連作障害の抑制にもつながります。発根障害の予防目的で使用する際は、500~1000倍の希釈液を作物に与えましょう。すでに発根障害が発生している場合は、20~50倍に希釈した液を株元散水します。
おいしく健康な作物に!活菌態 笑愛ボカシ
「活菌態 笑愛ボカシ」は、有機JAS規格に対応したぼかし肥料です。使用することで食味のいい野菜や果物を栽培できるだけでなく、同じ作物を育てていても酵母菌の働きによって連作障害が起こりにくいという特徴があります。ペレットタイプなので使いやすく、野菜・米・果物などあらゆる作物で使用可能です。
納豆菌群の効果で土をフカフカに!バイオの恵
「バイオの恵」は、納豆菌群の力で有機物や堆肥、作物の残渣などを分解して、アミノ酸やチッソなどを吸収しやすい状態にする土壌改良材です。微生物の働きによって土壌の団粒構造を促進し、作物の根張りがよくなるので収量や品質の向上が実現できます。使用方法は、植え付け後に株の周りにまくだけ。使用量は、1㎡あたり30~50gが目安となっています。
まとめ
商品 | 使い方 | 特徴 |
---|---|---|
約500倍に希釈し |
善玉菌の培養液です 定期的に与えることで ふかふかな土を維持 |
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施用目安は 約400g/坪(約20株分) です |
善玉菌と天然ゼオライトを 合わせることで 悪玉菌を寄せ付けない |
|
【発根障害の防止】 【発根障害発生時】 |
高純度の木酢液で 有効菌の活性を促進 |
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ペレット状の堆肥です。 作物に合わせた施肥量で 施用します。 |
有機JAS規格に対応した ぼかし肥料 |
|
1㎡あたり 30~50g使用します。 |
納豆菌を使用した粉粒肥料で 根張り促進にも効果的 |
今回は、植物が健康でおいしく育つために必要な土づくりについて解説しました。土壌微生物の働きによってさまざまなメリットがもたらされるということがおわかりいただけたかと思います。
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