農業を始める年齢はいくつまで?新規で農業を始めるメリット・デメリットを年代別に紹介
新しく農業を始めたいと思っても、農業を始める年齢や資金など、不安に感じる点も多いのではないでしょうか。この記事では、農業を始めるのに適した年齢、年代別のメリット・デメリット、就農成功のポイントなどを解説します。新規就農の際に必要なものや、資金の目安についても紹介しているので参考にしてください。
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農業を始める年齢はいくつまで?
農林水産省は毎年、新規就農者を対象にした統計調査を行っています。データによると、令和3年に新規就農した人は合計で52,290人に上ります。年齢別×就農形態別の割合は、下表のとおりです。
新規自営農業就農者 | 新規雇用就農者 | 新規参入者 | |
---|---|---|---|
15~19歳 | 200 | 700 | 10 |
20~29歳 | 1,930 | 3,700 | 470 |
30~39歳 | 2,480 | 2,170 | 1,080 |
40~49歳 | 2,580 | 1,970 | 1,130 |
50~59歳 | 3,870 | 1,470 | 540 |
60~64歳 | 8,700 | 820 | 240 |
65歳以上 | 17,130 | 740 | 360 |
これらの数字から読み取れることを解説します。
農業を始めるのに年齢は関係がない
調査結果によると、年代ごとに就農者数に幅があるものの、年齢に関係なく農業の道を選ぶ人は、一定数いることがわかります。 一方で、就農形態によって、年代のボリューム層は大きく異なっています。
60代で農業を始める人は多い
令和3年の新規就農者数のうち、60歳以上は27,990人で、全体の約半数を占めており、特に65歳以上で多くなっています。 そのうち「新規自営農業就農者」の割合が最も大きく、60代以降は家業を継いで就農する人が多いといえるでしょう。
起業して農業を始める人は30~40代が多い
一方で、20代~50代の新規就農者数は、5,000~6,000人規模と年代別に大きな違いはありません。 形態別にみると、起業して農業を始める「新規参入者」の数が、30~40代で特に多くなっています。 新規参入者の詳細については後述します。
新規就農者の種類
農業を始める際の就農形態には、「新規自営農業就農者」「新規雇用就農者」「新規参入者」の3つがあります。 それぞれの特徴を解説します。
新規自営農業就農者
新規自営農業就農者とは、主に家業を継ぐ・手伝うために農業を始めた人です。 もともと家族が農業を営んでいたため、農地・設備や栽培ノウハウ、仕入れ・販売ルートが確保されているケースが多いでしょう。
新規雇用就農者
新規雇用就農者は、法人などに就職して農業を始めた人のことです。 年間7ヶ月以上雇用されていることが条件となります。 一定の収入を担保しながら、上司・先輩から知識・ノウハウを学ぶことができる点がメリットです。
新規参入者
新規参入者は自分で起業する、あるいは共同経営する形で農業を始めた人です。 農地を相続・贈与された場合は該当しません。 経営を自ら行うため自由度が高い反面、技術習得や資金調達、販売ルート確保などに多くの時間・コストが必要となります。
農業を始める年代別のメリット・デメリット
農業を始める年齢によって、プラスに働く点・注意すべき点は異なります。 年代別のメリット・デメリットを解説します。
10~20代で農業を始める場合
10~20代で農業を始めるメリットは、長時間の肉体労働に耐えうる若さ・体力です。 また吸収力があるため、新たな知識・スキルが身につきやすく、若いうちから就農することが将来に向けて大きな力になるでしょう。 一方で、資金力や経験は不足しているため、独立のハードルは高いでしょう。 若いうちは一定の収入基盤がある自営農業就農か雇用就農を選ぶことが一般的です。
30~40代で農業を始める場合
最近では、30~40代で会社員を辞め、農業を始めるケースも増えています。 この年代は、体力・資金・社会経験をバランスよく持ち合わせています。 雇用就農・新規自営農業就農・新規参入のいずれの形態でも、農業を始めやすいでしょう。 注意点として、特に雇用就農・新規参入の場合は、会社員時代に比べ年収が減る可能性があります。 このため、家族や周囲の人から反対されるケースもあるでしょう。 また、移住して農業を始める場合、地域の農家の人たちとうまく馴染めないといった人間関係への懸念もあります。
50代以上で農業を始める場合
50代以上になると、豊富な資金力や社会経験を農業に活かすことができます。 農業を営む上では自治体や農協、地域の農家の人たちとの連携が求められるため、社会人経験で培ったコミュニケーション能力は大きな武器になるでしょう。 早期退職して農業を始める人も多く、時間的なゆとりが大きい点もメリットです。 一方で、若い頃に比べ体力・回復力はどうしても低下します。 長く安定的に農業を続けるには、人を雇用する、機械を活用するなど、自分の負担を減らす工夫が必要です。
農業を始めるための4つの必要要件
農業を始めるにはさまざまな初期投資が必要になります。 中でも重要な農地、設備、知識、資金4つについて解説します。
農地
まずは農地と住居地を確保します。未経験から農業を始める場合は、購入ではなく賃貸方式を選ぶことが多いでしょう。 農地の取得・賃貸に関しては農地法で定められたルールのもと、自治体の農業委員会の許可を得る必要があります。 農地の空きがない、地主が首を縦に振らないなど、スムーズに土地を確保できないことも珍しくなく、新規就農のハードルの1つとなっています。
農業機械・設備
栽培する作物や栽培方法に応じて、必要な機械・設備を用意しましょう。
具体的には、以下のようなものがあります。
- トラクター
- 軽トラック
- 耕運機
- コンバイン
- 農薬散布機
- 自動選別機
- 暖房機
- 草刈り機
- ビニールハウス
- 水耕栽培設備
など、一度に全て購入するには多額の資金を要するため、優先順位をつけましょう。
中古品を購入する、レンタルを活用するという選択肢もあります。
技術・知識・情報
農業で一定の収入を得るには、基本的な栽培スキル・知識が不可欠です。 日本は地域によって気候風土が異なるため、その土地に応じた栽培方法を学ぶことも重要でしょう。 習得方法としては農業大学に通う、先輩農家の知見から学ぶなどがあります。 具体的な方法については後述します。また、取得するとよい資格は以下のとおりです。
- 普通自動車免許
- 大型自動車免許
- けん引免許
- 農業機械士
- 農業簿記検定
資金
農業を始めるには、農地や農業機械・設備を用意するための初期費用だけでなく、メンテナンスや肥料などのランニング費用、収入が安定するまでの生活費など、まとまった資金が必要となります。貯蓄など自己資金での用意が難しい場合は、国の補助金制度を活用するとよいでしょう。たとえば、農業次世代人材投資資金では年間150万円を最長7年間支給してもらえます。
農業を始めるための費用の目安
農業を始めたい人にとって、ネックになるのはやはり費用でしょう。 初期費用・運転資金の目安を解説します。
初期費用
農業を新たに始める際には、農地・住居・農業機械・設備・種苗などの購入が必要です。 一般社団法人全国農業会議所が実施している「新規就農者の就農実態に関する調査」によると、令和3年度の新規参入者の就農1年目にかかった費用の目安は以下のとおりです。
- 農地: 都府県では100~300万円未満の割合が最も多く、北海道では1,000万円以上の割合が最も多い
- 住居: 賃貸(集合住宅)は3~5万円/月、購入では1,000~2,000万円の割合が最も多い
- 農業機械・設備: 平均561万円
- その他必要経費(種苗・肥料・燃料など): 平均194万円
運転費用
2年目以降も、種苗・肥料・燃料等に194万円がかかります。 農地・住居を賃貸で賄っている場合は、賃料も引き続き発生し、生活費も必要です。 資金調達に困ったら、国や自治体が提供している新規就農者向けの補助金・支援を活用するとよいでしょう。
農業を始めるための技術の習得方法
未経験で農業にチャレンジする場合に、必要な技術・知識をどのように習得すればよいかを、解説します。
農業法人に就職する
農業法人とは、法人形態で農業経営を行う会社・組合のことです。 農業法人に就職すれば、一定の給与を得ながら技術・知識を身につけられます。 農業法人は大規模集約的な農業を行っていることが多く、農業経営についても学ぶことができるでしょう。 独立支援を行っている法人もあるため、必要な技術・ノウハウを学んでから独立したいという人におすすめです。
農業関連の学校に通う
基礎知識が全くなく、栽培方法から経営管理まで体系的に技術・知識を身につけたいという場合は、農業技術を学べる学校に通うという選択肢もあります。 農業大学は全国41都道府県に設置されており、地域の特性に応じた農業ノウハウなどを実地で学ぶことができます。 独立のための実践的な技術・知識を身につけられるでしょう。
農家で働きながら学ぶ
実戦で経験を積みたいという場合は、先輩農家のところで働きながら教えてもらうという方法もあります。 将来的に独立を希望しているなら、後継者を探している農家に弟子入りするのもよいでしょう。 知り合いに農家をやっている人がいなければ、自治体の新規就農センターに相談すれば、研修生として受け入れてくれる農家を紹介してもらえます。
新たに始めた農業を成功させるためのポイント
農業を始めても、資金繰りや運営がうまくいかず、挫折してしまうケースは珍しくありません。 成功のためのポイントを解説します。
就農の計画をしっかり立てておく
資金調達や販売戦略について、しっかり計画を立てることが大切です。 新規就農支援制度や自治体のサポートなどを上手に活用しましょう。 複数販路の確保や、ニーズ調査による作物選定など販売戦略も重要です。 また、移動の負担を考えると農地と住居は近い方がよいでしょう。
農業と経営の両方を勉強をする
農業を始めるにあたっては、農業・経営両方の知識が必要です。栽培技術や品種に関する知識だけでなく、運営戦略の考え方や、販路拡大のための営業スキル、天候不順の際のリスク管理なども学ぶ必要があります。 日頃から情報収集を怠らない姿勢が求められるでしょう。
地域に受け入れてもらう努力を怠らない
農業を続けていくうえで、地域内での連携は不可欠です。 農地の確保や仕入れ・販売ルートの確保、地域内での共同作業など、地域の人々との信頼関係がないとうまくいかないことも少なくありません。 積極的に集まりに参加するなど、コミュニケーションを大切にしましょう。
まとめ
農業を始める年齢に制限はありませんが、若いころは資金力が、年を重ねてからは体力がネックとなることがあります。 新規就農には農地や資金、技術なども必要になるため、しっかり計画を立てましょう。
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